落語

いいねえ落語は。こないだどうにも暇だから録画しといた落語をね、ええ聞きましたよ。暇つぶしにね。ところがどうだい、暇つぶしなんていったら罰が当たるよ、罰が。これがなんともいいねえ。一席目は火炎太鼓、これはやっぱり志ん生のが一番で、申し訳ないが欠伸をしながら聞いてましたよ。ところが二席目の二階ぞめき、こりゃよかったよ。何ともまあ若旦那が良くできてる。この話なんざあ、例の、ホレ、寅さんの下敷きになってるんだろうねえ。山田監督も落語好きだもの。若旦那の夜遊びを治すのに番頭が計らった二階に吉原を作っちまう。もちろん見立てだ。女も客も誰もいやしねえ。そこを若旦那がぞめくわけですなあ。吉原というかたちはこしらえてあっても、そこにいる連中はみんな若旦那の頭ン中で生まれる。こりゃまさしく寅さんが、旅先や団子屋の例の連中に語って聞かせるあの場面ですよ。いや、面白かった。もちろん三席目の中村仲蔵にも泣かされましたがね。

ジュージツ

なんか最近さあ変にジュージツしてるわけ。ジュージツだよジュージツ。4月になったっていう事もあるんだけどさ、春?そ、一番の原因は春なわけ。春ってヨーキがいいじゃん。あったかくってさ、今までと全然違っちゃって。ついこの間まで寒かったしさ、それがもうぜーんぜん違う。ほら、桜だって満開じゃん。別に桜が好きってわけじゃないよ。桜が咲くから春?んー、春だから桜が咲く?どっちでもいいけどジュージツしてんだ、ワタシ。

カーテン

最近は「おばあちゃん」と呼びかけることにした。

毎日一緒に過ごしていて気が付いたのだが、
息子の名前も顔も二重三重の紗のカーテンのその奥に隠れてしまったらしいと。

そのカーテンが強い風に翻るようにして時折息子が見え隠れするらしい。
きっとそうなのだ。

それを無理にカーテンを開け放って、
今まで幾度もあなたの息子ですよと言ったが、その都度、困惑し混乱し悲嘆する。

だから無理に開け放つ必要は無い、そう思うようにした。

パンパンパン

うちは12時15分にならないとお昼休みにならないのでそれを知らないお客さまが11時過ぎに来社をされると気を利かせて12時ごろには席を立ってくれるので助かるところですが応接室の時計が目に入らないのか一所懸命お話しなさる方は12時15分を回ってもなかなか。そんなわけですからいつものようにお昼は外でが面倒くさくなってしまったところへ毎週一度立ち寄ってくれるパン屋さんが玄関前に横付け。野菜の特辛カレーパンとコシノ・アンコと妙な名前の付いた表面黒胡麻だらけのアンパンをいただきました。味は特に辛くもなくコシにアンコがぎっしりというのでもなくごく普通のカレーパンとアンパンでございました。

昼中華

お昼の選択肢は特別な事が無い限り二つ。二つと言ってもあんまり変わりはないんだけどね。片方はラーメン屋さんだしもう片方は中華屋さん、ね、一緒でしょ。今日は前者の冷やしラーメンをチョイスしたのですが、どういうこと? 今日は暖簾がかかっていませんでした。よって後者のお店へUターン。この店のメニューはだいたい制覇したので注文するのはもっぱら2種類。今回は担担麺でした。もっとも、他の担担麺とは少し違います。その違いはいずれまたご紹介。ということで。

憂鬱

憂鬱なことがたくさんあって仕事も墓鳥ませぬ。でも憂鬱って字は難しいなあ。キーを打つと画面にさっと登場するけどこれがあなた筆持って書いた日にはあなた、大変よ。うつなんて字は大きく書かないと中の細かいところが書けないもんね。まあ滅多に書くことないからいいけどね。だけど憂鬱。

とんとんみんみん

きょうのお昼は「とんとん」で五目冷やしラーメン。
そうだなあ、週に最低2回は食べるかなあ。
ボクとしてはふつうの食堂のふつうの冷やし中華がいいんだけど、
職場のちかくには「とんとん」と「みんみん」しかないのです。

まあなんどもなんども食べているうちに慣れてしまって、
いまじゃあこれが最高って思い込んでる。

オリジナルにはトマトがのって出てくるのですが、ぼくはトマトが嫌い。
だもんで、「トマト抜いてください」と何回かリクエストするうちに、
黙っていてもトマト抜き。

中太っていうんですかね、
好んでラーメンを食べるわけではないので専門用語はわかりませんが、
ともかくちょっぴり太目の麺のうえに、
メンマ、ワカメ、ちょっぴりの紅しょうがと、
そしてチャーシューがのってお酢の入ったしょうゆダレ。
そんなもんかしら。

問題はこのチャーシューなんだけど、
日によって厚さがちがうのです。
よくよく聞いてみると、
お客さんが多くて切れてしまいそうとか、
お肉やさんがおやすみだとか。
そんなわけはないんだろうけどね。
ともかく、日によってチャーシューのサイズがちがう。
まあボクはもともと肉っ食いじゃないから全然気になりませんが、
トマトのうえに肉まで抜いたら、なんかお店に失礼なような気がするのですよ。

チャーシューがかけらも無いときには、
「すみません、切れちゃったので30円値引きするからね」って、
ほっとすると同時におこづかい助かっちゃったと思うのです。

さてと、きょうはリアルでもネットでもおともだちのヒゲ氏と入れ違いだったそうで、
あゝ、昨夜はまた夜遊びがすぎたのかなと推察しております。

さいごにとても重要な問題が。
お財布を持たずに食べに行ってしまいましたとさ。
きょうのお昼は無銭飲食でした。

めげるんだぜぇ~

「ただいま~」

ん?声が無いゾ。

「ただいま~」と声を上げながら茶の間へ。
お袋さま、にこにこ笑って「おかえりなさい」。
ん?いつもと様子が違うゾ、ちょっぴりホッとする。
台所でシンクに向かっている女房殿の背に向かって「ただいま」。

「おかえり」

ん?この声のトーンは、ちとご機嫌斜め?
何かあったのかしらん。
さわらぬ神にたたりなしで、そのままスルー。
ササっと着替えを済ませて、茶の間のテーブルに着くと、
お袋さま、ニコニコしながらこうおっしゃる。

「なんだろ、つまンない顔して」
「そんなことないよ」
「つまんない顔してるよ。疲れたの?」
「うん、疲れたんだよ」

と、やり取りしているうち、お袋さま台所の方をそっと指差して、

「あのね、あの人に怒られたの」

そら来たゾ。

「なんか悪いコトしたんでしょ」
「な~んにも悪いコトしてないんだけどね。
どうして怒るのかわかンない」

なんで怒ったか、こちらには察しが付く。

「そうなの。困ったね」

と話は一応打ち切り。

時計が8時30分を回ってお袋さまご就寝の時刻。
そろそろ入れ歯外して休まなきゃね。
トイレはそっちじゃないよ、こっちこっち。
ホラ歩行器を使わないと危ないよ。
それはパジャマの上着じゃないでしょう。
じゃあおやすみ、まで約20分。
電気を消すとあっという間に爆睡。

こちらから聞くともなしに女房殿から今日の出来事が怒涛の如く。

今日は病院の日だったのね。
いつもの通り、朝から家に帰る家に帰るの一点張りで、
それでも病院に連れて行ったから、その間はまあ治まっていたの。
病院は急患があったとかで時間が大幅にずれ込んでしまって、
だいぶ待ってしまったんだけど。
ようやく時間が来て診察室の中に入ったら、
お母さんえらくハキハキしていてね。
先生が「どうですか?」と聞くと即座に「大丈夫です」、
「足痛くない?」と聞くと「痛くないです」、
「歩ける?」「歩けます」っていうのよ。
思わず歩けないでしょうって言っちゃった。
そしたらどうも病院には来たくないってことらしいのね。待たされちゃったしね。
で、病院のついでに親戚の○さんのところにお中元を届けなくちゃいけなくって、
お母さんには車の中で待ってもらって、ちょっと買い物に寄ったの。
そんで戻ってきたら、私が逃げたんじゃないかと思ってえらく興奮していたの。
でもなんとかなだめて、○さんところに行って、
お母さんと一緒に上り込んでお茶をごちそうになったんだけど、
それが普通に話すのよ。
でも、ご主人をおじいちゃんと間違って話してるからご主人には申し訳なかったわ。
でね、そんなにして一日動いて家に戻ってきたら、
また帰りたい帰りたいって言うのよ。
それがどんなにしても堂々巡りなんで、暑いし、イライラするし、私言っちゃった。

「ちょっと、黙ってて」

どうやら、お袋さまが怒られたというのはこの言葉らしい。
想像していた通りだ。
しようがないよ、一日中付き合っているんだし。
堂々巡りの不毛の会話は心が疲れ、そのうち折れる。
時々吐き出した方がいい。
でも、ストレスが残るのはその言葉を吐いた自分。
強烈な自己嫌悪だけが残る。
そんなわけで女房殿はめげていたわけです。
自分に怒っていたわけです。
まあ、こうして話を聞くことがケアになるのかなあ。
自分の場合は、こうして書くことがそうなるのかもしれません。

え?
もちろん、今朝もお家に帰りたいって言ってましたよ。
土曜日になったら連れて行くからも少し泊っていてくれとお願いしておきました。

 

バーチャル別れ話

先週金曜日のこと。
職場の親睦会がまちなかの居酒屋さんで6時30分から開催されました。
5時の終業のチャイムとともに次々と社員さんが退出していきます。
じゃあおさきにと、ボクも職場を後にいったん帰宅します。

家に入ると出迎えた女房殿がしかめつらでお出迎え。

「また?」
「ちょっとこんがらかって」

金曜日はお袋さまのデイ・ケアの日です。
お袋さまの頭の中は、この日は決まってカオス状態。

「どうしたの?」
「あのね、あっちの家に帰らないと」

(…またきたよ…)

「休みの日に連れて行くからここでゆっくりしてってよ」
「でも、ずーっとここにお世話になりっぱなしでしょ。
 今日は帰らないと」
「お願いだよ。
 ゆっくりしてってよ」
「だって、向こうのTちゃんも心配してると思うの」

(Tちゃんというのはボクの女房殿のこと)

「なに言ってんだよ、
 この人がTちゃんでしょう」

(お袋さまはおどろいた顔で…)

「あら、この人もTちゃんなの。
 おんなじ名前なんだね」
「そうでしょう、この人がTちゃんなんだから」

(自分でもこんがらかってきます)

「あのねえ、この人はボクのお嫁さん!」
「あら、結婚してんの」
「そうだよ」
「いやだこと、初めて聞いたわ」

(なにがなんだかわかりません)

「じゃあどうしたの、あっちの人とは?」
「ん?
 誰?」
「あっちのTちゃんに決まってるでしょう」

(?????)

「だーかーらー、」

(この辺から声が大きくなってきます)

「だーかーらー、あっちは無いの!
 こっちだけ!」

(ここで女房殿参入。
いいから出かけなよと腕でサインを送っています。
お袋さま首をかしげながら)

「わかんないなあ。
 あんたはこの人と一緒になったんでしょう?
 だったら、あっちの人とはっきりさせなきゃいけないでしょう」

(?????)

「あっちの人ときちんと別れて来いって言ってンの?」

(もう、こっちもおかしくなっています)

「そうに決まってるでしょう」

(ここで女房殿ふたたびサイン。
今、出ないと親睦会に間に合いません)

「わかった。
 じゃ、話をつけてくるから」
「あたりまえでしょう。
 ちゃんとしないでそんな馬鹿な話しないでしょう」
「はい、わかりました。
 申し訳ありませんでした」
「ったく、お酒を飲みに行ってる場合じゃないでしょう」

途中で話がこんがらかって、
あっちの家にボクの女房殿がいるにもかかわらず、
こっちのひとと結婚するなんてとんでもない。
きちんと話をつけて一緒になりなさい。
ということになってしまいました。

しまいにはお袋さまに
申し訳ないと頭まで下げる結果と相成りました。

ああ、ややこしい。

 

お世話になりました

「ずいぶん長いことお世話になったから、
そろそろ送ってって欲しいんだけど」

朝の食卓に着くと決まってお袋さまはこうおっしゃる。
これを正攻法で、

「お家はここだけだからね。
帰る場所は無いんだよ」

と応えると、大変なことになります。

「そんなことないでしょう。
だって、長いこと留守にしてるから
あっちの家でも心配してると思うの」

これから先は話が堂々巡り。
お袋さまのいう『あっちの家』は、自分の生まれた家。
市中心部にある小さな山の少し上ったあたりにありました。
その家も20年ほど前に壊され影も形もありません。
跡地は、市の公園になっています。
第一、お袋さまがその家で起居していたのは結婚する22歳まで。
その後、嫁ぎ先では数度転居を繰り返し、
今の家にはかれこれ35年近く住まいしています。
お袋さまの住まいの記憶はどうも嫁ぐまでしかないようです。

で、最近ではこんな風に応えています。

「ずいぶん長いことお世話になったから、
そろそろ送ってって欲しいんだけど」
「そうだねえ、今度のお休みに連れてってあげるよ。
申し訳ないけど、それまでここでゆっくりしていてよ」

5分ぐらいはこれで持ちます。
5分経つと同じことの繰り返し。
少しまいっています。