仲間はいいっ!

ホームのベンチで休もうと長いホームの端へ歩いていくと列車の来るにはまだ時間があるのに先客が座っていた。ただぼうっとあらぬ方向へ視線を向けたまま座っている先客は黒いオーバーコートの襟元から青い地に赤の模様の入ったマフラーを覗かせている。
そのマフラーの上に乗った顔、よおく見ればI藤氏ではないか。先方はこちらに気づかずにただただぼうっとしている。声をかけないのも失礼だが駅のホームで無我の境地に入っているのを起こすのも無粋だ。しばらく放って置くことにした。
彼と僕との距離は3メートル。
列車が来るアナウンスが入るまでの10分ほど、そのままの距離を保っていた。
時間も迫ってどうやら無我から覚醒したらしい。
知らぬ振りして乗車口の列に並ぶ僕の背中をちょんとつついてくる。
驚いた風を装って、やあどうもと当方しらばくれて挨拶を交わしていると向こうからC葉氏がやってきた。(きっとあの狭い喫煙室で一服してきたに違いない)
あとはI畑氏が来るだけ。

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