喫茶店のマッチ

駅を出ると広場の道路に接したあたりに路面電車の乗り場があって、その軌道を東の方へと辿り、南北に横切る広い通りを横断してさらに軌道を追いかけると、銀行や証券会社の建物で昼でも日の当たらぬ薄暗い通りに入る。右手に百貨店のあるあたりで通りは突き当ってTの字となり、ようやく通りにも日が差してくる。駅から東進してきた軌道はそこを左へ折れ、折れたかと思えばすぐに右折する。このあたり、昔は結構栄えた界隈で電車に乗ってきた近郷近在の人たちがこのあたりで下車し、百貨店を見物やら買い物やらしていく。いわば町の中心部といってもいい、そういう時代があった。いつしか路面電車は廃止となりバスが取って代わった。このマッチの「サボイア」という喫茶店は、栄えた時代の最後の名残りのように、営業を止めてからも、大町の交差点を見下ろしていた。 ※ ピノキオのマッチはおまけ。

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ありがとう

主だった社員たちが祝いの席を設けてくれた。少し高い店なので、こいつら勘定大丈夫かと、ご馳走になっていても落ち着けなかった。食事の途中で照明が消されこいつが出て来た。「すみません、ケーキが無いのでアップルパイで」そういう奴らだ、この連中は。野太い声の誕生日ソングの中でろうそくを吹き消しながら、うれしくて涙が出てきた。

ありがとう