ひとりのみ



出張帰り、駅前の居酒屋にぶらり。
注文は、
熱燗、もつ煮込み、厚焼き卵、茄子の一本付け、それと鮪の刺身。

熱燗を猪口から口に含んで一瞬とどめ、それからゴクリ。
喉元をつーと通り過ぎてから鼻腔に酒の香りがふわりとやってくる。
この時季、やはり熱燗だな。
「とりあえずビール」は選択肢に無い。
季節外れの茄子の漬物が酒をサポートしてくれる。

それと、隣の客が盛り上がっている話に一人にやけたり。

一人呑みはいい。
実にいい。
いえ、負け惜しみじゃなくて。

冷えかけた厚焼き玉子も、これまた肴に良し。
あ、それと、ふつふつ煮えたぎるほどのモツ煮も。
この際、味などどうでもいい。
一人で呑む行為が最高の調味料。
そしてまたゴクリ。

ぬるくなったしまった熱燗も、口腔内を行ったり来たり、
そんでもってゴクリ。

ふぅ、禁煙しているはずの煙草をふかしたりして。
酒は松竹梅、なんて口中で歌ったりして。
でも、今どきのすまあとほんの電池が気になったりして。
バッテリー残量はあと10%です。
結局スマホ相手のしょうもない「ふたり呑み」ちゅうことか。

おいおい、酔っちまったゾ、たった2合で。

おつもり。
帰る。おあいそ~!
一人呑みは切り上げるのもかっきり締めるのだ。
鼻歌歌って帰るのだ。

三味線の~三の糸ほど苦労をさせて
ほんにあんたは~バチあたり~。

都々逸なんか唄ったりして。

外は…、 雨か。