う~ん

アイスクリーム、小さなスプーンで3つ。
ヤクルト、半分くらい。
水、30c.c.
小さな氷のかけら、2つから3つ。

体温、夜8度ぐらい。氷枕と腋窩、鼠径部を冷やして6度5分ほど。
寝汗をかいて下着交換1日2度から3度。

訪問看護で1回20分ほどの点滴を1週間。

相変わらず問いかけには反応しない。
聞こえてはいるが、応えることを「拒否」している。
タイミングが合えば、かすかに首を縦横に振って応える。
もっと調子がいいと、声に出す。
ただし聞き取れるほどの声ではない。

昔の歌を歌うと、聞き取れぬほどのハミングでついてくる。

この一週間でずいぶん痩せた。

エアコン

二階の部屋の天井は屋根との間にあんまし隙がねえものだから、お天道様にちいっとばかり焼かれると、もわあっと熱気がこもる。「エアコン付けましょうか」と若い奴が入ってくるなり、つい先に部屋で待っていたおいらに声をかけるから、「いらねえよ、窓を開けりゃあいいじゃねえか」と応えると面白くなさそうな表情がちらりと顔を過ぎったがすぐに繕って「そうですね、もったいないですよね」とつくり笑いで応じた。そのあとばらばらっと部屋に入ってきた連中に、おい、時間はとうに過ぎていると腹の中で毒づいた。最後に入ってきた奴が黙ってエアコンのスイッチを入れたので、その騒音と最初に出てくる生ぬるい風で部屋は一瞬前より暑くなり、その後徐々に冷気に変わっていった。

プライド

認知症でも心はものすごくナイーブなんだ。
この数日、そんなことに気が付いた。

1週間前のデイケアから戻って以来、お袋さまの様子がなんか違うのだ。
ひとりで食事ができなくなったし、女房殿が口元に運ぶスプーンも受け付けなくなった。
食べられなくなったのではないような気がする。
食べることを拒否しているような、そんな気がする。

口元を真一文字に閉じ、目をつぶり、頭を垂れている姿は、かかわってくれるなとすべてを拒否しているように見える。

呼びかけにも応答しない。
聞こえているのに応えない。

ベッドの中では両腕を胸の前に組んで小さくなっている。

極端に具合が悪いわけでもない。
なんかものすごく嫌なことがあったんだと思う。

通所先であったとは思いたくないが、われわれのちょっとした言葉や声のトーン、笑い声や怒った声、なにげない動作が、もしかしたら彼女の心を傷つけたのかもしれない。
今まで一緒に暮らしてきて、そんな場面があって、気づかずにあるいは気づいても、笑って過ごしてきたんだ。

認知症って心はものすごくナイーブなんだ。
認知症だってプライドはちゃんと持っているんだ。
そんなことに気が付いた。