かぜ

風が吹くと無性に寂しくてね。
電線や梢がびゅうびゅうと鳴って、えらい寂しいのさ。
ねんでだろうね。
子どものときからそうみたいだなあ。
台風が発生したというニュースを見ると、進路が気になってしようがない。
風が吹くとさ、我が家は粗製乱造時代の家だから、柱もこうマッチ棒みたいに細くってね、戸と柱の隙間や畳と畳の間から風がひゅうひゅう入ってきて薄ら寒いんだなあ。
あれかね、隙間風や雨漏りは貧乏の象徴みたいなもんだから、結局貧乏が怖いのかね。
ともかく風はいやだよ。
早く収まってくんねえかなあ。

こわい

怖い

暖かな寝床から抜け出して
熱いシャワー浴びて
ポストから新聞取り出して
コーヒーの香りの中で新聞を読む
普通に朝食をとって
妻の声に送られ家を出る

怖い

おはようの挨拶を交わし合って
職場の朝礼にのぞんで
朝一番の電話のベルで
今日一日の仕事スイッチがはいる
普通に仕事をして
軽い疲れを抱えて会社を出る

怖い Why? 怖い
怖い Why? 怖い
怖い

月の光を浴びながら車を降りて
家のチャイムならして
おかえりの声に迎えられて
ドアの外に肩の力を脱ぎ捨てる
普通に帰宅をして
いつものように
いつものように

でも怖い
でもWhy?
でも怖い
でもWhy?

得体の知れぬ気持ち悪いものが
日常の普通の当たり前の生活を脅かしている
得体のしれぬ気持ち悪いものが
子供たちや女たちや男たちを脅かしている
得体のしれぬ気持ち悪いものが
たおやかで美しくかえ難い自然を脅かしている

でも生きていく
普通に生きていく
怖さとの静かな戦いを続けて生きていく
かけがえのないこの故郷で生きていく
いつの日かあの得体の知れぬ気持ち悪いものが
私たちのまわりから消え去る日まで

番号

「マイナンバーなんまいだあと聞き違え」

こんな句だったと思いますが、昨日行われた会議での代表挨拶冒頭で紹介されたシルバー川柳です。会場に笑いが巻き起こりました。
でも、聞き違いではないかもしれません。生まれたときに付けられた「マイナンバー」は「南無阿弥陀仏」とあの世に旅立つまで持っていなければならないのですから。