福井県敦賀市は株式会社塩荘さんの「つるが・あなごずし」開封の儀。
頃合いもよく昼時の新幹線であったので、駅弁調達。
散々迷いに迷った末に買い求めたのが、このあなごずし。
いわゆる押し寿司である。
一本丸ごとの棒鮨は、あちらこちらから出ているが、あまり量は食べられないので、小ぶりなこちらのあなごずしに目が止まった。
もっとも、一番最初に目を止めたのが、広島はうえののあなごめし弁当であったから、頭の中にあなごあなごと刷り込まれてしまったに違いない。
東京駅構内の駅弁屋は全く罪である。日本全国津々浦々の駅弁をこれでもかと並べ立てるのだから。
かくして、新幹線の車中でつるが・あなごめしをいただくこととなった。
幅60×厚35×長120の箱サイズだから、掌にすっぽりと入る。あいにく秤を持ち合わせていなかったので重さは省略するが、随分持ち重りがする。
この中のほとんどの体積を、あなごとめしが占めているのだ。
開封すると、ビニールの袋に全体が密封され、竹の皮に似せた紙で包装されたすし本体と、箸やプラスチック製のナイフ、それに生姜の酢漬け、すしにかける山椒など実に効率的にパッキングされている。
それらをすべて開封し、座席の前のテーブルに並べると、そこはもう敦賀である。
敦賀は寒かろう、雪もしこたま降っているだろう、福井といえばこの時期かにだが、いいや敦賀のあなごもどうしてどうしてと、妄想しきり。
売店で頂戴したナプキンで手を清め、割り箸を抜き取って、ひいふうみいよのむう、6切れあるぞ、とりあえず一切れをひとくちでパクリ。
おうおう、しっかり重石を乗せてこさえたすしだ。米と米が口中でパラリとほどけるななどせず、ポクリポクリとブロックになる。
じっくりかみしめかみしめいただくと、おいおい、俺が主役だと柔らかく炊いたあなごが、主張し始め、追いかけるように、めしの中に仕込んだきくらげの佃煮もかすかに舌を撫でていく。
あっという間に一切れは腹に収まったが、何か忘れてはいまいかと、テーブルの上を俯瞰すると、山椒である。山椒が、除け者にしてくれるな、俺がいなければ、いかな主役のあなごでも、旨さ8割とのたもうている。
そこで、山椒をパラリパラパラかけてやると、なんと、あなごの活き活きしてきたこと。
思わず知らずのうちに、残りの5切れがすべて腹に収まってしまったのはいうまでもない。
あーあ、一本丸ごとの棒鮨にしておけばよかった^ ^