夢はふくらむのこころだあ!

昨日届いたこの本、寝床に持ち込んでページをめくりながら眠りに付いた。

夢の中で軽便鉄道に揺られ、トンネルを抜け鉄橋を渡り、山懐の一件宿へ向かった。
「お寒いところをこんな山奥まで」
仲居に案内されてちんまりした部屋へ通される。
部屋の真ん中には炬燵。
「寒いがらなし。あとでまた火ぃ見に来ますから、まずは風呂でも」
仲居に進められ湯に向かう。
宿の端のほうに暗く長い階段があって、その先が風呂場らしい。

ざぶりと湯をかぶって手ぬぐいを頭に乗せ、足先で湯の温度を測るようにそろそろと風呂につかる。
湯船に流れ込む湯の音と、ざあざあと溢れる湯の音。
窓の向こうには雪が積もった山肌。
湯船の中で体を動かすたびに、湯気が高い天井に舞い上る。
カラリトと音がして風呂場の戸が開いた。
さぶりと湯をかぶる音。
桶を置く音が風呂場の中にカコ~ン。
静かに湯船に滑り込んでくる湯音。
そっと後を振り向くと、おいおい、おなごではないかいな。
向こうが背を向けているうちに早々に退散しかけようとしたら、おなごクルリと振り返る。

な、なんじゃ、うちの女房じゃあるまいか。

気付くと同時に、頭の上に天井から冷たいしずくがポタ~ン、ひやり。

女房殿のおかげで早起きできました。

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